50年前の〝黒板〟の先生と、30年ぶりに再会
三重県 Nさん
「黒板を使って説法される若い仏教の先生がおられる」
富山県で生まれ育ったNさんが、その噂を耳にしたのは50年前、30代のころだった。しかし当時は聞くご縁がなかった。
55歳の時に三重県に移り、家庭の悩みから毎朝『正信偈』を拝読するようになる。意味が知りたくて近くの僧侶に尋ねたが、読み方しか教えてもらえなかった。
74歳の時、急性腸炎で倒れ、八時間に及ぶ大手術。医師から「切れたのが腸の外側ではなく内側だったら、助からなかったかもしれない」と告げられると、死への不安から、ますます仏教が知りたくなる。
「年を取ると、お金があっても家があっても、むなしくてねえ。生きている間に何とか本当の仏教が聞きたいと、もう、切羽詰まった気持ちでした」
平成19年8月、地元の親鸞会の勉強会に足を運んだ。「『王舎城の悲劇』でイダイケ夫人が弥陀の本願に救われる場面を見た時、『ああ、助かる道があるんだ』と涙があふれてきました」
やがて親鸞会館での高森顕徹先生のご法話に参詣し、「いつも黒板を使われている。50年前に噂で聞いた方だ」と気づいた。
「高森顕徹先生は大事なところを繰り返し、ていねいに教えてくださる。だから実によく分かる。こういうお話が聞きたかった」と、続けて聞法されるようになった。
「50年前のあの時、聞いておればと思います。だからこそ、今、親鸞会で真剣に親鸞聖人の教えを求めずにおれません」