歎異抄とは
「歎異抄」は親鸞聖人が書かれたものではなく、著者はいまだ不明だが、聖人のお言葉をそのまま伝える名文として、多くの人々を魅了してきた。日本三大美文の一つに数えられている。
例えば作家・司馬遼太郎は、「明治以前の文章家の中で、平易達意の名文は、『歎異抄』と浄土真宗中興の祖と仰がれる蓮如上人の『白骨の御文章』、それに宮本武蔵の『五輪書』をおいてほかに見当たらない」と言っている。
「歎異抄 旅に持ちきて 虫の声」
親鸞聖人に強烈に引かれ、『親鸞』という著作も残した作家・吉川英治の句である。『歎異抄』は彼の座右の書であった。
また日本を代表する哲学者、西田幾多郎も、空襲の火災を前に、ほかの書物が燃え尽きても『歎異抄』さえ残ればいいと言い切ったという。
それほど多くの人に親しまれている『歎異抄』だが、実はカミソリ聖教の異名を持つ。他力信心と、親鸞聖人の教えをよく理解している人が読まないと、とんでもない読み間違いをするからだ。
カミソリは、大人が使えば重宝でも、扱い方を知らぬ子どもが持てば他人を木津着け、自らも傷つく危険なものとなる。蓮如上人が、だれにでも読ませてはならない、と奥書を付け、書庫に封印なされたのも、その恐ろしさを洞察されたからにほかならない。
明治以降、『歎異抄』が一般に公開されると、聖人を讃仰する人は宗派を問わず多く現れたが、反面、教義が誤解され、その後の真宗の急速な衰退に繋がったともいわれる。
歎異抄の解説書、楽しみです。
住吉 美里さん(仮名)
『歎異抄』といえば、日本三大美文※の一つともいわれています。『歎異抄』に関心を持つ人は大勢います。大学の研究課題で「なんでもよいから、思想、哲学書を読んで感想を書くように」というものがありました。
(※日本三大美文・・三大古文ともいわれ「方丈記」「歎異抄」「徒然草」のこと)
私は歎異抄第三章の
「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」
を取り上げ、今までに聞かせていただいた話をまとめて提出したところ、
「きみのはすごかった」
と教授に褒められました。
図書館にも『歎異抄』に関する書が、何十冊も並べられているのを見ると、いかに関心が高いかが分かります。だからこそ、本当の意味を伝えたいと思います。
もうすぐ出版される『歎異抄』の解説書が、とても楽しみです。