「聴聞の一本道」とは「三願転入」

親鸞会館の二千畳(富山県射水市)

 本師本仏(大宇宙の仏方の師)の阿弥陀仏は、十方衆生(すべての人)を煩悩具足(煩悩の塊)と見抜かれて、「煩悩具足の者(すべての人)を必ず絶対の幸福に助ける」と誓われている。

 これが、王本願とも、選択本願とも言われて名高い、弥陀の十八願である。

 煩悩とは、私たちを煩わせ悩ませ、罪を造らせるもので、欲や怒り、ねたみそねみの心に代表される。自衛官幹部が、「妻にかまってもらえなかった」と腹を立て、自宅にガソリンをまいて火を放ち、わが子4人を焼死させる事件があった。なんとバカなことを、と思う反面、とても他人ごととは思えないのは、誰しも同じ心があるからである。

 阿弥陀仏が救う対象とされている「煩悩具足の者」とは、こんな欲や怒りの煩悩の塊(煩悩100%)で、日々罪悪を造り続けている我々すべての人間のことなのである。

 そんな者が、では、どうすれば救われるのか。

 阿弥陀仏の本心(十八願)を釈迦が解説された「本願成就文」には、「聞其名号 信心歓喜 乃至一念」と、「聞く一念で助かる」ことが明示されている。

 ゆえに、親鸞聖人も、蓮如上人も、「仏法は聴聞に極まる」と教導される。弥陀に救われるには、「聴聞の一本道」なのである。

 ところが我々は、「お前は煩悩具足、罪悪深重の者だぞ」とどれだけ聞かされても、聞く耳を持たない。相対の智恵しか持たないから、「あいつほど善人ではないが、こいつほど悪人でもなかろう」としか思えない。自惚れて、よもや自分が極重の悪人とは認められず、反発心しか出てこない。

 だから、「煩悩具足のお前を、そのまま救う」という弥陀の本心を、素直に「はい」とは絶対聞けないのである。

 そんな我々を、弥陀はやるせない大慈悲心で五劫に思惟なされ、何とか十八願真実まで誘導して助けずばおかぬと、造ってくだされた軌道が十九、二十の方便願である。

 阿弥陀仏は、すべての人間を煩悩100%、一生造悪、善のかけらもない極悪人と知り抜かれたうえで、十九願に「修諸功徳」と諸善を勧められている。

 なぜだろうか。

 それしかほかに方法がなかったからである。

 この弥陀の十九の願意を、弟子である釈迦が一生涯、説き明かされたのはそのためである。

 釈迦は、大宇宙の真理である三世因果の道理を説かれ、廃悪修善を懇切に教導されている。それは決して釈迦の独断ではない。師である阿弥陀仏の御心だからである。

 それを親鸞聖人は、次のように喝破されている。

「八万四千の法門は、みな是れ浄土の方便の善なり」
(一念多念証文)

〝釈迦一代の教えは、弥陀の十九願に勧められている善である〟

 この弥陀と釈迦の善巧方便を知らず、三願転入を否定し、ひたすら無常と罪悪を煽り立て、安楽イス製造者になってはならない。

 触れられたくない罪悪を、他人に暴かれ指摘されれば、号泣もしようが、それは罪悪観であって、他力の信心(二種深信)ではない。人間業でどうにかなる弥陀の救いではないのだ。

利他の信楽うるひとは
願に相応するゆえに
教と仏語にしたがえば
外の雑縁さらになし
(親鸞聖人)

 願(弥陀の十八願)に相応して利他の信楽(他力の信心)を獲る人は、外の雑縁さらになし(無碍の一道)になるのは、教(釈迦の教え)と仏語(諸仏の言葉)にしたがった人であると、親鸞聖人は仰っている。

 聴かずしては教えにしたがえない。まさに「聴聞の一本道」とは「三願転入」にほかならないことを、親鸞聖人は、生涯かけて開顕してくだされたのである。

あなたが仏教から学べるたった一つのこと

 

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