映像編
真剣な聞法の場を実現するLED(1/3)
2000畳の大講堂の最後列に座っても、親鸞聖人のお言葉や、黒板の文字が、鮮明に見える。大型映像は、聞法最優先の正本堂には欠かせない設備です。
顕真会館(平成4年落成)のハイビジョンなど、これまでも、真剣な聞法のために、親鸞会ではつねに、最新の映像装置が選ばれてきました。大講堂には、ちょうどこの完成にあわせるかのように開発された、LEDの大映像が導入されています。
担当者へのインタビューを紹介しましょう。
―――〝LED〟とは?
日本語では、〝発光ダイオード〟といい、色のついた光を放射する小さなランプのことです。私たちの身の回りには、多種多様なLEDがあります。
例えば、テレビのスイッチを入れると、赤や緑に光るランプ。また、いろいろな家電製品の表示ランプは、ほとんどがLEDです。
ガソリンスタンドや商店街では、文字が出る広告用LEDも、よく見掛けるようになりました。鉄道の時刻表示や、街頭でニュースが流れているメッセージボードのように、様々な場所で目にします。
―――白色の電球とは、違うのですか。
例えば信号機は、ガラスに青と黄と赤の色がついているだけで、中で光っているランプは、皆同じです。車の赤いブレーキランプもそうです。
しかし、LEDは、それ自体が赤やオレンジなどの光を放つのです。
店の広告や時刻表示は文字だけですから、難しくありません。映像用のLEDは、そうはいきませんよ。
―――どうしたら、映像になるのですか。
たくさんのランプが集まって、1つ1つが、隣のランプと違う色を出さないと、大きな画像になりません。
大講堂に設置される大映像は、横に1,280個、縦に608個、計77,8240個のランプが並んでいます。
―――そんなに! 1つ1つのランプが、どうやって多彩な色を出すのですか。
映像用のLEDは、1つのランプが、赤、緑、青の3色の組み合わせで、すべての色を表現します。例えば、赤と緑だけ点灯して、青をつけないと、黄色になります。絵の具だと、黒っぽくなってしまいますけどね。
3色全部つけると、白になります。3色がそれぞれ、どれくらいの明るさで輝くかによって、混ざった色が変わってくるのです。
―――液晶プロジェクターとの違いを教えてください。
今までの会場は、液晶プロジェクターでした。
プロジェクターは、光を出して、スクリーンに映し出しています。私たちの見ているスクリーンが、光っているのではありません。
LEDは、それ自体が発光します。これを〝自発光〟といいます。ですから、プロジェクターと違って、部屋を暗くしなくても、きれいに見えるのです。
技術の著しい進歩
―――導入までのいきさつ
平成10年に、2000畳の大講堂構想が持ち上がった時から、当然、大型映像が必要になると分かっていました。そこで、幾つかのメーカーに、どんな設備がいいか、提案させたのです。
その時はまだ、LEDの技術は低く、普及していませんでしたので、2つしか選択肢がありませんでした。
1つは、旧タイプの屋外専用装置です。LEDではありません。競馬場とか競艇場、陸上競技場などに使われていました。
もう1つは、やはりプロジェクターです。
そのうちに、ある有名メーカーから、工場まで見に来てくれと言われ、建設委員会のメンバーで長崎まで行ったのが、初めて映像用のLEDを見た時です。
プロジェクターと比べると、格段に明るい。部屋を暗くしなくてもいいので、手元で仏教の聖典が拝読できる。
「これはいいものが開発された」と思いました。
―――それで、2000畳の大講堂はLEDで決まったのですね。
しかし、屋外用だったので、光が強すぎる。ぎらつく感じで、長時間見ていたら、目が痛くなってしまいました。
また、RGB型(下の写真)というLEDだったので、画面に近づくと、何が映っているか分からなくなるのです。赤・緑・青のランプが、3つ1セットになって並んでいるもので、画面からある程度離れないと、何が映っているのか分かりません。
RGB型LED
―――まだまだ、開発途上だったのですね。
そうです。ほかのメーカーの製品も見るために、横浜や静岡にも行きましたが、技術的には、ほぼ同じ。そこで、しばらく保留となったのです。
平成13年から再度、本格的に探し始めました。
屋内型でぎらつかないものを求めて、企業が納品しているいろんな施設へ、何か所も行きました。しかし、やっぱりぎらぎらして、離れないと見えないものばかりでした」
―――その問題点が打開されたのは?
そのうちに、3イン1型といわれるLEDが開発されました。これは、1つの球の中に、3色の発光ダイオードが入っていて、ランプ1つ1つが、すべての色を表示できるのです。これなら、近づいても分かります。
3イン1型LED
LEDの専門メーカーが開発し、大阪の大型カメラ店にあるというので、見に行きました。もともと屋外仕様だったLEDが、屋内に対応するやわらかい明るさを実現し、ぎらつかず、きれいでした。
ところが、10ミリピッチという、ランプとランプの間隔が広いものだったので、映像がブツブツしているように見えたのです。もう一歩でした。
プロジェクト2000畳