私の人生観は間違いか

問 一度は死なねばならぬことは分かっていますが、毎日、死ぬ死ぬと思っていては楽しく生きられません。だから私は死をなるべく考えないように生きようと思っています。私の人生観についてご意見を聞かせてください。

答

あなたのような人生観をもっている人は少なくないでしょうが、真面目な人生観とは思えません。

「一度は死なねばならぬことぐらいは分かっている」と思っていられる死は、あくまでも他人の死であって自分の死ではないのです。あるガンの専門医は、「ガンであることを本人にも家族にも知らせずにおくと、5年以上も生きられるが、家族だけに知らせても生きる期間は2年は縮まる。それが本人にも知らせると1年も生きる人は少ない」と報告しています。

戦場とか大ゲンカで極度に興奮している時は案外、平気で死ねるようにみえますし、不治の病で死の宣告を受けた患者の中には自殺する人もいますが、あれは極度の興奮で一時気が変になっているか、死を恐れるあまり自ら死を選ぶのでしょう。

大石内蔵助は腹を開き短刀は握ったが、手がふるえて腹につき刺すことができなかった。

介錯人が見るに見かねて、彼の輝かしい名声を傷つけまいと大石の切腹の前に首を刎ねた、と伝えられています。

「手を一つ 打つにつけても 討つという 敵のことは忘れざりけり」の執念が実って、吉良邸に討ち入った時の大石内蔵助には、死は眼中になかったかもしれませんが、そのような激情は永く続くものではありません。

シェークスピアは『尺には尺を』の中で、「死ぬのはこわいことだ」とクローディオに叫ばせ、ユーゴーは『死刑囚最後の日』の中で、

「人間は不定の執行猶予期間のついた死刑囚だ」と言っていますが、すべての人間の悲劇は、遅かれ早かれ死なねばならないところにあると言うことでしょう。

核戦争がこわい、公害が恐ろしい、食糧危機だ、交通戦争だと騒ぐのも所詮は、死という核心に触れることを恐れて、それらに衣を着せ和らげたものと対面しようとしているにすぎないでしょう。

しかし、どんなに死を考えないように明るく生きようとしても、100%やってくる「自分の死」から完全に目をそむけることはできません。

麻酔薬は一時苦痛をやわらげゴマ化してはくれますが、麻酔が醒めたら苦痛と対面しなければならないように、やがてゴマ化すことのできない自分の死と自分だけで対面しなければなりません。

それを親鸞聖人は、

(原文)
【呼吸のあいだ、すなわちこれ来生なり。一たび人身を失いぬれば、万劫にもかえらず。この時さとらざれば、仏、衆生をいかがしたまわん。願わくは深く無常を念じて、いたずらに後悔をのこすことなかれ】(教行信証行巻)

(意訳)
「吸った息が吐けない、吐いた息が吸えなかったら来世である。後生は遠い話ではない。死ねば同じ人身に戻ることは永遠になく、迷い苦しまねばならぬ。この一大事を今解決しなければいつできるであろうか。永遠のチャンスは今しかないのである。されば刻々と迫る無常を凝視して決して後悔を残してはならない」

と教えられています。

それゆえに蓮如上人は、

(原文)
【あわれあわれ存命のうちに、みなみな信心決定あれかしと朝夕思いはんべり】

(意訳)
「命のある中に皆人よ、信心決定してもらいたい。朝夕思いつづけている」

一切の苦悩の根元である後生の一大事を解決をして無碍の世界に雄飛しない限り、我々の求めている光明の人生は開けないのです。

それは阿弥陀仏の本願力によらなければ、絶対に果たしえない大事業なのです。この一大事の後生を解決して真に明るい人生を生きましょう。

あなたが仏教から学べるたった一つのこと

 

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