『歎異抄をひらく』発刊後、
なぜ真宗界は『歎異抄』解説本が出せなくなったのか

親鸞会 アメリカ

『歎異抄をひらく』の発刊により、真宗界に与えた衝撃の事実がある。
毎年、10冊以上出ていた『歎異抄』の解説書が、『歎異抄をひらく』発刊後、3年3ヶ月にわたり1冊も出ていないのである(平成23年6月現在)。
出ていないというより、出せないと言った方が正確なのかも知れない。
これまでの『歎異抄』解説と、『歎異抄をひらく』の違いを改めて確認したい。

封印されてきた『歎異抄』

読者の多さでは他に類を見ない仏教書『歎異抄』。
国宝級の名文といわれ、その人気を物語る逸話は数知れない。

明治から平成の今日まで読み継がれてきた『歎異抄』は、親鸞聖人の肉声を伝える格調高い書として、思想家、哲学者、作家をはじめ、多くの人々に親しまれ、称賛されてきた。

不朽のベストセラー『歎異抄』は、しかし、脚光を浴び始めたのは明治時代の後期である。
100年ほどしかたっておらず、鎌倉中期に成立以来、永く封印されていた書なのだ。

500年の昔、全国津々浦々に教えを弘め、空前の親鸞聖人ブームを起こされた浄土真宗8代目の蓮如上人は“当流大事の聖教”(浄土真宗の大事な聖教)と言われ、ご自身で書写されるほど『歎異抄』を評価されている。

ところが、その蓮如上人が、『歎異抄』を封印されたのである。
『歎異抄』末尾に加えられた蓮如上人の文言から、それを知ることができる。

「右この聖教は、当流大事の聖教たるなり。
無宿善の機に於ては左右無く之を許すべからざるものなり。釈蓮如」

「無宿善の機」とは仏縁の浅い人、親鸞聖人の教えをよく分かっていない人のことである。
そのような相手には、みだりにこの本を読ませてはならない、と上人は言われているのだ。

それは、仏教を正しく知って読まねば、とんでもない誤解をする落とし穴が『歎異抄』にはあまりに多いからといえる。
事実『歎異抄』は「カミソリ聖教」といわれる。
カミソリは大人が使えば重宝だが、子供が持つと危険極まりないもの。命を奪うことさえある。

『歎異抄』も同様、仏縁の浅い人には信仰を誤らせる危険な書物だ、と蓮如上人は洞察されたのである。

学者もハマる『歎異抄』の落とし穴

『歎異抄』が世の注目を集めるようになってから、数多くの学者、作家、思想家が、その解説を著し、毎年10冊以上の『歎異抄』解説本が出版されてきた。

しかし、蓮如上人が心配されたように、その解釈は私見(個人的な見解)で書かれたものばかりで、『歎異抄』は、親鸞聖人の教えに関する数多くの誤解曲解を生み出す結果となった。

顕著な誤りの一つは、「念仏を称えたら誰でも極楽へ往ける、と教えたのが親鸞聖人」という、広く世にひろまっている迷妄があげられる。

親鸞におきては、「ただ念仏して弥陀に助けられまいらすべし」と、よき人の仰せを被りて信ずるほかに、別の子細なきなり。 (『歎異抄』第2章)

を、次のように誤解するのだ。

◆石田瑞麿著 『歎異抄 その批判的考察』
ただ念仏だけを称えて、阿弥陀仏のお救いにあずかりなさい

◆安良岡康作著 『歎異抄 全講読』
ひたすら念仏をとなえて、阿弥陀如来のお助けをこうむるのがよい

◆親鸞仏教センター著 『現代語 歎異抄』
ただ念仏によって実在を回復できるという如来の本願の道

◆山崎龍明著 『初めての歎異抄』
ただ念仏して、阿弥陀仏に救われて、広大な世界に生まれていくだけです

◆梅原猛著 『誤解された歎異抄』
ただ念仏すれば、阿弥陀さまにたすけられて必ず極楽往生ができる

多くの親鸞研究者でさえ誤っているところだが、この誤りを蓮如上人は、次のように正されている。

「世の中に人のあまねく心得おきたるとおりは、ただ声に出して南無阿弥陀仏とばかり称うれば、極楽に往生すべきように思いはんべり。それは大に覚束なきことなり」
(3帖目4通)

“世の人は皆、ただ「南無阿弥陀仏」と声に出して称えれば、極楽へ往けると思っている。それは大きな間違いである”

「世間にいま流布して、旨と勧むるところの念仏と申すは、ただ何の分別もなく、南無阿弥陀仏とばかり称うれば、皆助かるべきように思えり。それはおおきに覚束なきことなり」
(3帖目5通)

“今日、広く世間で勧められている念仏は、ただ「南無阿弥陀仏」とさえ称えれば、誰でも助かると思われている念仏である。それは間違いである”

蓮如上人が指摘されるように、あまりに明らかな誤解なのだが、それに気づかないのは、偏に親鸞聖人の教えに昏いことが原因といえるだろう。

1つしかない『歎異抄』の真意

『歎異抄をひらく』(高森顕徹先生 著)の発刊から、3年3ヶ月が経過した。

『歎異抄をひらく』は、それまでの私見による『歎異抄』解釈本とは異なり、『教行信証』をはじめ、親鸞聖人のお言葉で『歎異抄』を解説することで、正しい親鸞聖人の教えを明らかにされた本である。

平成20年3月に発刊されてより、それまで毎年10冊以上出ていた『歎異抄』解説本は、真宗界から、1冊も出ていない。

まるで独自性を競うように、自由な解釈が横行してきた『歎異抄』だが、親鸞聖人、蓮如上人のお言葉を明示し、曖昧さを許さない鮮明さで、聖人の教えを明らかにされた衝撃が、真宗界に地殻変動を起こしているのだ。

新たな『歎異抄』解説をしようと思えば、私見を排し、まず『教行信証』から親鸞聖人のお言葉を明示しなければならない。それによってのみ名著『歎異抄』の解釈が許されるであろう。

あなたが仏教から学べるたった一つのこと

 

覚えておきたい『歎異抄』11の御文

『歎異抄をひらく』後、2年の沈黙

異端か、正統か|『歎異抄をひらく』発刊から1年10カ月

アクセスランキング
1位 仏教講座
2位 各地の親鸞会
3位 親鸞聖人ってどんな人?
4位 浄土真宗親鸞会について
5位 親鸞聖人略年表
おすすめ記事
浄土真宗の法要の意味
親鸞学徒の本道をゆく
『なぜ生きる』に命 救われた
人生の曲がり角「「幸せになりたい」と娘は言った」
親鸞会 動画集
浄土真宗親鸞会
〒939-0395
富山県射水市上野1191
TEL 0766-56-0150
FAX 0766-56-0151
E-mail:info@shinrankai.or.jp