世紀の天文ショーを正本堂と一緒に
7 月 24, 2009 on 3:04 pm | In 日記 |
数カ月前からマスコミなどで話題になっていたのが、「衆議院解散」と「皆既日食」。
衆議院解散はアレとして、老いも若きも今週の最大関心事は「日食」!先日22日は、太陽が月にスッポリ隠れてしまう皆既日食で、日本の陸地で観測できるものとしては、1963年7月21日以来46年ぶりとのこと。皆既日食は、トカラ列島などの限られた場所でしか見られませんが、月が太陽の一部のみを隠す部分日食は、日本全国で観測できるとあって大フィーバーでした。
そこで、親鸞会館のある富山県ではどうかといいますと、富山市天文台の情報によれば、9:52ごろから「食のはじめ」といって天頂側から徐々に欠け始め、11:07ごろに最も欠ける「食の最大」となり、この時の最大食分が74%。そして、12:24ごろに日食の終わりとなる「食のおわり」でした。ちなみに、最大食分が74%というのは、最大で太陽の74%が欠けてしまうということなんですが、70%を超える部分日食は1958年4月19日以来51年ぶりだそうです!
「そんなチャンスを、ぜひとも正本堂と撮りたい!」と思うのは、写真愛好家としては当然のことですね。ただ、日食の撮影というのは、まさしく「太陽の撮影」!太陽の光量はハンパではなく、どんなストロボをまとめてたいたところで及ばない明るさなんですね。ですから、そのまま撮っては、ただ真っ白く飛びまくった写真になりかねません。それなりの準備が必要です。
日食撮影の準備
最も大事なのは、そのケタ外れの光をいかにしてコントロールするかっていうことになります。つまり、人間なら日食観察用の「日食グラス」を使って観察するように、カメラにも日食グラスとかサングラスのような減光アイテムが必須となります。それが、NDフィルターですね。
一般的に、NDフィルターが使われるのは「滝の撮影」ですね。写真集などで日本の滝の写真を見てみると、水しぶきすら感じさせない絹糸のような綿のようなソフトな写りになっているかと思いますが、これはNDフィルターというカメラ用のサングラスを装着してシャッタースピードを遅くして撮っているからで、そうすることによって水しぶきがはじける荒々しい滝も、華麗な絹糸の滝に大変身してしまうのです!でも、この滝の撮影レベルでは、光量を1/4とか1/8程度に落とすNDフィルターで十分なんですが、さて、太陽になるとどんなもんでしょう?
推奨されているのは、富士フィルムやケンコーなどで扱っている、光量を1/10000にしてしまう超弩級のNDフィルター。透かしても何も見えない真っ黒なガラスみたいだそうですが、太陽を撮影することを考えなければ出番がないシロモノですね。そんな、使用頻度の低い1/10000のNDフィルターは、とっくにメーカー在庫も尽きしてしまい、頑張ったところで入荷は日食に間に合わず!はるかに減光能力の低い1/400も品切れとなり、揚げ句の果てには1/8なんていうのも品薄になる「特需」でした。
親鸞会館も写し込む「技」
しかし、そんな1/10000のNDフィルターなんて、今回の日食撮影が終われば、そのまま防湿庫行きで、気がつけば数世紀もの間発見されない正倉院の宝物状態になりかねません。そんなワンチャンスのために購入するのもバカバカしいですし、何よりもそんなに減光してしまえば太陽以外には何も写りません。そこで「正本堂も写し込んで撮影するには、アレを試してみるしかない!」と、ある特殊撮影&特殊画像加工を試してみることを企ててみました。
それが、HDR(ハイダイナミックレンジ)画像の生成ですね!
同じアングルで露出を段階的に変えた写真を数枚撮影し、パソコン上の特殊なソフトで多ビット画像に統合してしまうという銀塩写真では、まず難しい写真を作り出すという手法です。
気になる天候は……
さて、これほどの明度差のある写真でHDR画像を作ったことがない私ですが、いよいよ22日を迎えました。前日は雨!心配していた天気でしたが、雨の国である富山も珍しく晴れ、日食中は悪くても薄く雲がかかる程度でした。
いそいそと、カメラを2台設置。望遠専用と広角専用の2台です。広角のレンズには、もともと所有していた1/4のNDフィルターと反射除去用のPLフィルターの2枚重ねで対応。絞りは最大絞りで所有レンズならf22で、ISO感度も減感してISO100相当にしました。
そして、11:00過ぎ、周囲は薄暗くなりましたが、正本堂に露出を合わせて撮影したのがコレ。

……と、いくら部分日食とはいえ太陽の光量はハンパじゃありません!太陽がどこにあるのか分からないくらいにまぶしいじゃないですか!!減光しまくっていますが、シャッタースピードは1/5秒くらい。
ここから、段階的にシャッタースピードを速めていき、最速の1/8000秒まで持っていくと……、

……となってしまいます。まさに闇夜ですね。これでも、光量に追いつけないので、輪郭は丸くなってしまいました。でも、これ以上、暗く撮れないですね。さて、ここからHDR処理ソフト(しかも、トライアル版……)にて統合し、レタッチしたのがコレです。

シャッタースピードにして、1/5秒と1/8000秒という両極端な露出の写真の統合ですので、1600倍もの明度差を通常レンジに圧縮しています。そのため、正本堂が夕暮れのように薄暗いのですが、これはご愛嬌。肉眼でも観察できない正本堂と日食のツーショットです!ネット上で日食写真を検索しても、HDRやっている人はあまり見掛けませんね。
この調子で、鷲のマークをクローズアップして撮ったのがコレ。

これは、日食が始まったころですね。何となく鷲の陰影が分かる程度に露出を落としています。レンズ内での反射によってできるゴーストが日食の影響で三日月型になっていることに注目です!
ほぼ同じアングルで、露出を上げて撮ったのが次の写真です。

ごらんのとおり、太陽に雲がかかっていたので、減光作用があって装備不十分な私としては恵みの雲でした。鷲のマークもカッコイイですね。
そんな感じで、今回の日食撮影は終了!HDR処理も体験できて面白かったです。
次回の金環日食に期待!
富山で次に観測できる部分日食は、来年1月15日の16:54ごろ。ほとんど日没なので、形は見えるかもしれませんが、最大食分11%なので、あまり欠けません。それよりも、2012年5月21日の7:21ごろには、日本の太平洋側では金環日食が見られ、富山では最大食分92%の部分日食が見られますので、それに期待したいと思います。法輪閣の屋上から撮れば、正本堂と立山連峰と日食のトリプルショットが期待できます!
それで、どうしても皆既日食を正本堂で見たければ2035年9月2日まで待つしかないようです。それこそ生きていられるかどうか……。
頑張って生き抜きたいと思います。
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