人工知能が人間を負かす日

3月に、人工知能「アルファ碁」が世界のトップ囲碁棋士イ・デドル9段を、4勝1敗で下しました。人工知能が人間に勝ったことは、過去にもあります。

1997年にはIBMの「ディープブルー」が、チェスで世界最強といわれたカスパロフを破りました。また同じくIBMの「ワトソン」は2011年に、アメリカのクイズ番組「ジェパディー」で歴代チャンピオン二人に圧勝しています。

しかし今回の囲碁での勝利は、まったく別の意味があります。囲碁は、ゲームの中でも、世界で最も高度な一つです。可能な局面の多さは、チェスとは桁違いです。

今後、人口知能は、自動運転や、医師の診療の補助など、様々な分野での応用が期待されています。機械が運転したほうが、人間よりも事故が減り、機械が診察した方が、誤診が少なくなる日が、来るかも知れません。

人工知能が人間の頭脳を超えるのは、時間の問題でしょう。それは2045年だと予測する人もあります。その時、人間は人工知能に滅ぼされると心配する人もいます。

それでは、何のために人工知能を作るのか、わからなくなってしまいます。科学も医学も、すべての営みは人類を幸福にするためにあります。人工知能を作ったら、人類が不幸医なるのであれば、そんな研究は、やめなければなりません。実際、有名な宇宙物理学者ホーキング博士は、「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。だが同時に、『最後』の出来事になってしまう可能性もある」と言っています。

政治も経済も、科学も医学も、すべては私たちが幸福になるためにあります。

本当の幸福になる道を教えられた仏法を根底としてこそ、科学も医学も、真に素晴らしいものになるでしょう。


弘誓の仏地にたつのが人生の目的

日本ではバブルが崩壊してから、この20年、不景気が続いているために「失われた20年」と、よく言われます。

しかし同時に、「地震の20年」であったとも言えます。

90年前の大正12年(1923年)9月1日に起きた関東大震災では、十万人の人が亡くなり、日本の歴史上、最悪の災害となりました。それ以来、「再び関東大震災がやってくる」と、首都直下型地震に備え、「東海地方にも大地震がおきる」、対策が続けられてきました。

ところが21年前、平成7年(1995)には、思ってもいなかった阪神・淡路大震災が起きて、6400人の方が犠牲になっています。

さらに10年前、平成16年(2004)には、新潟県中越地震が起きて、阪神大震災と同じ震度7を観測しています。

そして6年前の平成23年(2011)、戦後最悪となる東日本大震災が発生しました。死者16000人、行方不明2500人の大惨事となっています。東北地方と言えば、東京に集中しすぎた機能を移転する候補地であったにも関わらず、観測史上最大の、千年に一度の大地震が起きてしまったのです。

その傷跡も癒えないうちに、今年の4月は14日、16日の連続して熊本で震度7の地震が発生しました。

このように日本では、この20年のあいだに震度7の地震が4回も起きており、その間隔は短くなる一方です。しかも、阪神や九州など、想定外の地域で地震が起きていますから、もはや特定の地域だけ、観測を強化するということは、意味がなくなってしまいました。

いつ、どこに大地震が起きてもおかしくない、あらゆる場所で対策を強化しなければならない、「大地震活動期」に入ったといわれています。

親鸞聖人が「火宅無常の世界」と仰ったとおり、いつ何が起こるかわからない、不安な世界に生きています。そんな私たちが、本当の幸福になるには、親鸞聖人の教えられた、阿弥陀仏の本願という、絶対に崩れない大地「弘誓の仏地」に立つしかないのでしょう。


若者はなぜ、過激な思想に走るのか

昨年11月14日に、パリで同時多発テロがあり、コンサートホールやサッカー場で120以上の人が犠牲になりました。ヨーロッパ全土で、厳戒態勢が取られていたにもかかわらず、4か月後の3月22日、ベルギーの空港と地下鉄の駅を狙ったテロで32人が死亡、340人が重軽傷を負いました。

9.11からテロとの戦いの舞台は、アフガニスタンからイラク、シリアへ移り、とうとうヨーロッパ内部にまで食い込んでいます。

かつてのアルカイダのような、プロのテロリストが周到な計画を立てて決行するテロ攻撃と異なり、今はインターネットで洗脳された若者が、即席のテロリストとなって凶行に及ぶようになりました。テロを防ぐのは、ますます困難になっています。

そもそもなぜ、若者が過激な思想に走るのか、世界中で原因が分析されています。

生きる意味がわからず、何か重要なことをしたいと思っている子どもが、イスラム教徒の悲惨な現状を見せつけられ、過激な思想に触れると、容易に影響を受けてしまうことが指摘されています。

テロは、空爆では無くなりません。もっとも大事な「なぜ生きる」の答えを明らかにすることが、若者の暴走を止める、唯一の有効な道ではないでしょうか。


もしも「仕事がない世界」になったら

シンクタンクの予想では、日本では20年以内に、労働人口の半分の仕事が、機械に置き換えられるそうです。

人工知能やロボットに、仕事を奪われる心配は、世界的に高まっています。

かつて経済学者のジョン・メイナード・ケインズ(1883~1946)は、1930年に書いた「孫の世代の経済的可能性」というエッセイの中で、
「大きな戦争がなく、人口の極端な増加がなければ、百年以内に経済的な問題が解決するか、少なくとも近く解決するとみられるようになるといえる」
と述べ、
「経済的な問題、すなわちいかにして生存(日々の生活)を確保するかという問題は、これまでの人類にとっての最重要問題であった。だが、もし百年後にこの問題が解決されたとすれば、人類は誕生来の目的を奪われることになるだろう。」
と予想しています。

そして、どうやって生活するかという経済の問題が解決すれば、残るのは、自由になった時間を何に使うかという、人類永遠のテーマだと言います。

「したがって、天地創造以来はじめて、人類はまともな問題、永遠の問題に直面することになる。切迫した経済的な必要から自由になった状態をいかに使い、科学と複利の力で今後に獲得できるはずの余暇をいかに使って、賢明に、快適に、裕福に暮らしていくべきなのかという問題である。」

私たちは、「仕事」をするために生まれてきたのではありません。仕事をしなくても生活できるようになったら、自由な時間を、何に使えばよいのでしょうか。医学で延ばした命、科学技術で増えた自由時間で、すべきこと、それこそ人生の目的です。

人生の目的を考える時間が増えれば、ロボットや人工知能は、仕事を奪う「悪」ではなく、最高に素晴らしいものとなるでしょう。


古今東西、変わらない「法」とは

昨年11月、130人の死者を出した、パリ同時多発テロから3か月がたちました。事件直後から敷かれた非常事態宣言を、さらに延長する法案が、圧倒的多数で可決されています。テロを防止するために、政府の権限を拡大する憲法改正の議論が、進められています。

憲法や法律、交通法規など、世の中で「法」といわれるものは、人間関係をスムーズにするために、人間が決めたものです。法がコロコロ変わっては、混乱しますから、法は簡単には変わりませんが、それでも状況が変わって都合が悪くなれば、変えなければなりません。

いつの時代も変わらない、永遠に変わらない法は、人間社会にはありません。

ところが、お釈迦様が説かれた「仏法」という教えは、古今東西、変わらない真実です。
仏教で「法」とは、古今東西変わらないものをいいます。仏教の言葉では、そのことを「三世十方を貫く」といわれます。

三世とは、過去・現在・未来のことで、「いつでも」ということです。昔も今も、そしてこれからも、絶対に変わらないものが「法」です。昔は正しかったけれど、今は通用しない、そういうものは法ではありません。

また十方とは、「東西南北上下四惟」のことで「どこでも」ということです。日本でも中国でもインドでも、どこへいっても変わらないのが「法」です。日本では正しいといわれていることでも、アメリカへ行くと間違いとされる、そういうものは法ではありません。フランスでもドイツでも、この地球を離れ、宇宙のどこへいっても変わらないものを法といわれるのです。

三世十方を貫いて、古今東西の人を本当の幸せにする真実を、「法」といいます。お釈迦様の説かれた「法」によって、すべての人が真の幸福に生かされることを、念じずにおれません。


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