『歎異抄をひらく』後、2年の沈黙

問われる どちらが異端か


『歎異抄をひらく』高森顕徹先生著)が世に出て2年。17万部のベストセラーは、今なお読まれ続けている。その間、毎年10冊前後出ていた「歎異抄解説」の新刊は全く姿を消してしまったようだ。この異常事態は何を意味しているのだろうか。

なぜ出ない?『歎異抄新刊書』


真宗界の深層に衝撃
『歎異抄をひらく』後2年の沈黙、何を意味する


『歎異抄をひらく』の発刊から丸2年、いまだ「歎異抄新刊書」と呼べるものは出ていない。いよいよ自認する“正統派”の歎異抄状況は深刻化してきた。『歎異抄をひらく』が浄土真宗の未来をひらき、思想界をひらくのだろうか。凍りついたままの歎異抄状況を分析してみよう。


 上のグラフと下の表を見ると、平成20年3月の『歎異抄をひらく』発刊以降、『歎異抄』に関する論文は激減し、本は出ているものの、執筆者の顔ぶれが大きく変わっていることに気づく。

  発刊の前年(平成19年)に出た解説本の著者は、元勧学寮頭(※1)1人、勧学2人、教学伝道センター所長1人、僧侶3人、龍谷大学教授3人、真宗文化センター所長1人。

  その前年(平成18年)には、勧学1人、講師(※2)1人、僧侶3人、龍大教授が1人である。いずれも親鸞聖人の教えを伝えることが専門の人たちである。

  ところが『歎異抄をひらく』発刊以降、これらの人たちの著作がパッタリ鳴りを潜めている。出ているのは、作家や弁護士、古典翻訳家など、いわば門外漢の書いたものだ。

  僧侶の山崎龍明氏、三明智彰氏の本もあるが、山崎氏のは平成18年のテキストをもとにした、新刊と呼べるものではない。三明氏は平成8年から15年、寺で開いてきた講座をまとめたもので、両書とも内容は従来の解説の踏襲に終わっている。殊に三明氏は、曽我量深(大谷派の学僧)の影響が濃厚で、親鸞学徒からは論外のものである。

 以上のような状況を見ると、『歎異抄をひらく』の真宗界に与えた衝撃が、いかに深刻であるかが分かってくる。発刊から2年、この間の沈黙が何を意味するのか、考えてみたい。

※1:勧学寮
  本願寺(西)の教学の最高学階である勧学18名から8名が選ばれ、勧学寮が組織される。勧学寮頭はその責任者。本願寺の宗法では、「門主は、宗意安心の正否を裁断する」(第8条)とあり、また「前項に規定する裁断を行う場合には、勧学寮に諮問する」とも定められている。教義に関する最も重要な役割が「勧学寮」にある。

※2:講師
  真宗大谷派(東)の教学の最高学階で、(西)の勧学に当たる。

 

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